2018年09月

現在2貫文札がヤフオクに出品されていますが、この品も相場の場が且になっています。

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当然、多数印刷するわけだから、各額面の版木は複数存在するだろう。写真は2貫文札の一部を拡大したもので左が本物、右が当時の版木を使用した偽物である。相場の場の字の日が且になっている。これはほかの額面にもみられる。たまたま、残っていた版木が日のタイプであったのだろう。ほかの4枚の2貫文札はすべて且になっていた。以上から字体、図案の微細の変化では当時の版木を使用した偽物は見分けることはできない。紙、インクなどを優先すべきであろう。

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この写真は札の裏にある引替會所の下に押されている緑の印を拡大したものです。
上が本物で下段が偽物、左は10倍、右は23倍の拡大像です。紙の繊維も違いますが、
緑色の濃さと鮮明さが異なっております。江戸時代の緑は再現できなかったでしょう。

前回の画像をよーくみていただければわかりますが、黒の版の図案、文字が微妙に違います。当然のことながら、版木は1種類だけではなく、摩耗すると新しいものを使用したと思われますので、最後に残っていた版木が複製に使用されたと思われます。しかし、いくら当時の版木を使用しても、黒い墨、朱色の朱肉、紙は当時のものではありません。30倍程度に拡大するとわかりますが、朱色はオリジナルが和紙にしみこんで、拡大すると朱色の部分の縁が不鮮明であるのに対し、最近の複製品はしみこまず、縁がはっきり見えます。のちほど拡大した図を掲載いたします。

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七福神札には現存する当時の版木を使用した精巧な複製品が存在するといわれております。今回それらしきものを入手しましたのでご覧いただきます。みなさんはどちらが偽物かわかりますか。正解は右側です。この2枚の明らかな相違点は上下の縁の切れ方にあり、本物は毛羽立ち、真直ぐではありません。よく見ると横も真直ぐでなないようです。偽物は正確に四角の紙です。じつはこれ以外にも見分ける点があるのですが、それは次回にします。下の封筒はこれに全種類をいれて販売されたようです。これから察するに作成した方は偽物で儲けるつもりではなかったと思われます。ただしこの右側の札はかなり汚れており、これは意図的ににあとからだれかがわざと汚したものと推察されます。なにしろ版木が本物のうえ、紙を和紙を使用していますから騙される方も多いのではないでしょうか。

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